このページでは、バイワイヤリングってなんでそんなに音が良いの?ということについて、ちょっと詳しく説明します。
“小難しい話は苦手”という方はこのページをパスして頂いても結構ですが、ここを読んでいただければバイワイヤリングの良さを本質的に理解していただけると思います。
さて、バイワイヤリングの音が良い理由ですが、一言で言ってしまうと『TWとWFがより分離され、誘起起電力の回り込みが少なく抑えられる』から、音が良くなるのです。
・・・・・何のことだかさっぱりですね。
このページでは、この理由をもっとわかりやすくご紹介します。
◆誘起起電力とは?
まず、一番難解なキーワード「誘起起電力」についてです。
スピーカーユニットは、コイルに電流を流すことで得られる電磁力を利用して駆動しています。(電力→振動の変換)
しかし、ユニットが振動することによりコイル内に電流が流れ(発電のしくみです)、ユニットから戻ってくる電力が新たに生じます。(振動→電力の変換)
この時に生じる新たな電力のことを誘起起電力と呼び、この誘起起電力がもう片方のユニットに入ることで、本来の信号には無かった新たなノイズが生じてしまいます。
(誘起起電力の発生する理由について詳しく知りたい方は、「フレミングの右手の法則」について調べてみて下さい)
◆ケーブルの接続方法で変わる誘起起電力の影響
さて、この誘起起電力がどのような経路を通ってもう片方のユニットに入るのでしょうか?
誘起起電力は、WF→TWとTW→WFの両方で相互に関係しあっているのですが、ここでは分かりやすくするために、より影響の大きいWF→TWの誘起起電力の流れを示します。
まず、①シングルワイヤリングの場合です。
シングルワイヤリングの場合には、スピーカーの入力端子は一組しかなく、スピーカーの内部でTW用の回路とWF用の回路に分岐しています。
この場合では、WFの回路とTWの回路がすぐそばにあるため、WFで発生した誘起起電力が簡単にTWに回り込んでしまいます。
②バイワイヤーAの場合
バイワイヤリングの場合はどうでしょうか?
バイワイヤーAが具体的にどんなケーブルかは「2種類のバイワイヤリング」のページでご紹介するとして、バイワイヤーAではパワーアンプ側の端子から先が分かれています。
この場合、スピーカーケーブルの長さの分WFの回路とTWの回路が遠くなっているため、WFで発生した誘起起電力がTWに回り込みにくくなります。
バイワイヤーを使うことにより誘起起電力による余計な信号が減っていると思われ、それによってノイズが少なくなるので、音(特に高音)がすっきり聴こえるようになります。
③ショートジャンパー使用の場合
ここで、バイワイヤリング対応のスピーカーで、ショートジャンパーを使用した場合について考えてみます。
スピーカーの内部ではTW用の回路とWF用の回路が分かれていますが、スピーカー側の端子でそれらの回路を繋いでしまいました。
この場合、WFの回路とTWの回路がすぐそばにあるため、①シングルワイヤーの場合と同様にWFで発生した誘起起電力がTWに回り込み易くなっています。
バイワイヤーBは、当店でおすすめしているバイワイヤリング用ケーブルです。
こちらも、どんなケーブルかは「2種類のバイワイヤリング」のページで詳しくご紹介しますが、バイワイヤーBを使用した場合にはパワーアンプの内部から情報を分離することができています。
この場合、バイワイヤーAに比べてどの程度音が良くなるかはパワーアンプの内部構造にもよりますが、これらの中では一番理想的な接続方法になります。
TWとWFを分離することで、誘起起電力の回り込みを少なく抑えると言う意味をわかっていただけましたでしょうか?
TWとWFを分離する、つまりWFからTWに誘起起電力が回り込む経路を長くする事によりノイズを減らす事がバイワイヤリングの目的です。